ハイラリンクス」とは、発声時に喉頭の位置が高くなる現象のことを指す発声用語です。このハイラリンクスが改善されるべきものであることは良く聞きますが、なぜ喉頭が高くなってしまってはいけないのでしょうか?それには3つの理由があります。以下、それらを1つずつ述べていきましょう。

咽頭腔狭小により調音の阻害要因となるから

咽頭収縮筋

ハイラリンクスを改善するのページに記載のとおり、ハイラリンクスを生じさせる筋肉は、顎二腹筋甲状舌骨筋の2つが挙げられます。これらの筋肉により、喉頭は挙上しますが、この際、舌骨から咽頭の喉頭縫線までを走行する中咽頭収縮筋が共に硬化します。そうすると咽頭腔が狭小され、調音に悪影響を及ぼします。

咽頭腔が収縮すると、まず、特定の母音がダイレクトに影響を受けます。その母音が「イ」と「エ」です。この2つの母音は発声がなされる際に広い咽頭腔を必要とします。さらに、咽頭腔の形状は第4フォルマント、つまり、声質を決定する大事な要因であるが故、咽頭腔の縮小は歌唱時の多様な表現のための調音を阻害します。

喉頭が降下すると喉頭音源が安定する

ハイラリンクスは、発声時(特に高音域)に当該筋が反射的に過剰機能してしまう現象です。すなわち、普段は定位置にある喉頭(普段から挙上してしまっている状態の人もいる)が歌唱時に発するピッチの高さによって突発的に挙上する不安定な現象なのです。

これは喉頭音源の生成される環境を不安定にする要素になります。したがって、ハイラリンクスを改善することで喉頭の位置が定まり、結果、安定した状態で喉頭音源が生成されるようになるのです。

発声器官の全体的な筋緊張を引き起こす

上記の2つは、歌唱時、つまりパフォーマンス時の声に悪影響を及ぼす要素となりますが、この3つ目の理由は、通常の話し声を含め、発声全体に悪影響を及ぼす要因になります。それは、ハイラリンクス状態での発声が、発声に関する筋肉を全体的に緊張させるということです。

内甲状披裂筋外側輪状披裂筋、披裂間筋等の閉鎖筋の過剰機能、外喉頭筋群の力みによる「喉頭の埋まりこみ」などの具体的な症状をはじめ、喉頭筋の過緊張は発声において様々な弊害をもたらします。これは、声質の悪い声を発することになるにとどまらず、声帯の消耗の原因となります。

いかがでしょうか?調音の観点にとどまらず、発声器官の健康面からもハイラリンクスは改善・予防する必要があるのです。ボイス・リビルディングでは、特にミドルボイスの練習時にこのハイラリンクスの予防・改善を目指します。重要なのは、

  1. 母音
  2. 口唇の形状の選択
  3. 正しい呼吸サイクル
  4. 視聴覚フィードバック
  5. 発声時に過緊張が起きてしまった筋肉の弛緩(リセット)

是非、参考になさっていただければと思います。

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