「過緊張というのは、『緊張し過ぎること』と書きますが、これはつまり筋肉を強化させすぎてしまったということなのでしょうか?」という質問をいただきました。この方は「筋肉を強化すること」と「過緊張を抑制すること」を逆のこととして捉えていらっしゃるようです。

筋肉は収縮・緊張することによって機能します。したがって、「過緊張」という表現からは「筋肉が強化されすぎている」という印象を持つ人がいてもおかしくはありません。しかし、これはもちろん誤った解釈です。そこで、今回は過緊張の実態についてお話させていただきたいと思います。

外喉頭筋群にみられる過緊張は「硬化」によるもの

このサイトでは様々な喉頭周辺筋をご紹介しておりますが、様々な筋肉において「過緊張」を起こさないようにとお伝えさせていただいております。では、過緊張を起こした筋肉とはどういった状態の筋肉なのでしょうか。結論から申し上げますと、過緊張は硬化した筋肉が、力ずくで無理に働いている状態を指します。

正常な働きができない状況下において、必要以上の筋力を消耗してしまい、結果的に悪い結果を招いてしまっているのです。泳げない人が、水中で力ずくで手足を動かしている状態を想像してみてください。この状況と少し似ているかもしれません。

この「泳ぐことができない人が力任せに手足を動かす動作」と「水泳選手が力強く水をかきながら前進する動作」は全く異なるものであることは一目瞭然です。すなわち、過緊張は硬化した状態の筋肉が空回りした状態を指す言葉であり、正しく鍛えられた筋肉とは正反対のものなのです。

では、この筋肉の硬化とはどういった現象なのでしょうか?そして、発声に関する筋肉を「正しく」鍛えるためにはどうすればよいのでしょうか?

筋肉硬化の原因

筋肉の硬化は、筋肉が定期的に正しく機能がなされないことにより生じます。筋肉が正しく動かないことで、緊張の要素が筋肉に停滞し、それにより、緊張状態が持続されます。これが筋肉硬化が起こる原因です。

また、緊張状態を維持した筋肉内部では、血液の循環が滞ります。これにより、酸素や養分が行き届かなくなり、結果、老廃物の排出ができなくなります。これも筋肉硬化の原因となります。

硬化解消のためには?

硬化の原因は緊張状態の持続血液循環不全でした。すなわち、これらを解消するには、緊張状態を解くこと、そして血液を循環させる必要があります。それにはストレッチ、そして振動運動の実施が効果的です。

ストレッチする場合は、伸張反射が起こらないようにすることが大事です。伸張反射とは筋肉が切れなうように筋肉を収縮させる反応のことを言います。ストレッチ時は、この反応が起こらないようにゆっくりと実施することが求められます。

この発声法では、特に発声に大きく影響を及ぼす内喉頭筋ならびに外喉頭筋においてのストレッチを推奨しております。内喉頭筋の閉鎖筋においては、発声をしながらのストレッチ、外喉頭筋については、当該箇所を動かす、もしくは外部からの補助により筋肉をストレッチさせる方法をご紹介しております。よろしければ、参考にしていただければと思います。

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