当サイトでは、ボイス・リビルディング理論に則り、ミックスボイス習得の体系立った練習の実施を推奨しています。しかし、例えば「現在、定期的に歌う機会があり、御自身の発声スタイルを大きく変更することが許されない人」もしくは「喉の周辺筋肉が柔らかく、体系立てた練習を実施せずともミックスボイスを習得することができる人」などは、体系立てた練習をこなすより、歌を歌う中でミックスボイス発声のコツを獲得するスタイルのほうが適しているということができるでしょう。

よって、そういう方々のために、発声練習ではなく「歌を歌う」という行為の中でミックスボイス習得のためのコツを掴むために必要なことについて考えていきたいと思います。

1.1にも2にも裏声発声

輪状甲状筋

「考えてみる」とはいったものの、その「答え」は考えるまでもありません。「ミックスボイス習得のコツを掴むためにすべきこと」それは、すなわち「とにかく裏声で歌うこと」です。

具体的には、現状で歌うには少し音域が高いと思われる曲を課題曲として選曲し、その曲をそのキーのまま、裏声のみで歌えるようになるまで歌いましょう。

このボイスリビルディング理論では、輪状甲状筋を最も重視しています。したがって、一見非常にラフではありますが、この練習方法はこの発声理論に則したものであるということができるでしょう。「

「裏声のみ」というのは「裏声のみで構成される声」を意味しています。すなわち「ファルセット」と「ヘッドボイス」がそれに該当します。この2種類の声を使って曲を表現できるように歌えるようになること(特にヘッドボイス)が重要です。

また「そのままのキーで」という箇所もポイントです。つまり、高音域ではなく、中音域から中高音域にかけてのファルセット、ヘッドボイスを鍛えることに意味があるのです。この音域をしっかりと練習することで、ミドルボイスの生成が実現可能となります。

地声と裏声を駆使して歌えるようになる

課題曲をキーを保った状態で「ファルセット」と「ヘッドボイス」を使って表現できるようになったら、今度は「無理なく地声を発声できる音域においては地声を使い、地声では発声が厳しい高い音域においてはヘッドボイスを使う」というスタイルで歌いましょう。

こうして、地声⇔裏声の移行をスムーズにしていきましょう。

裏声箇所が地声なのか裏声なのか感覚が分からなくなってくる

「裏声歌唱」と「地声⇔裏声歌唱」をとにかく継続してみてください。そうすると、高音域をヘッドボイスで歌っているのか、これまでの地声で歌っているのか感覚が判別できなくなるタイミングが訪れます。そのタイミングが「ミドルボイス誕生」の瞬間です。こうなったらしめたものです。この感覚の出現率が上がるまで歌を歌い続けましょう。(もちろん、「休みなく歌い続けましょう」と言っているわけではありません。日々の練習を継続しましょうという意味です。)

この感覚が板についてきたら「同じ音域をよく使う他の曲」に課題曲を移行し、同じように歌ってみてください。最初はこの感覚の出現率が下がることが想定されますが、同じように歌い続けることで、またこの感覚の出現率が向上するでしょう。こうして歌を歌うことを通し、ミドルボイスの領域を広げていきましょう。

以上が、私が提案する「歌いながらミックスボイスを習得していくためのアイディア」となります。参考になりましたでしょうか?冒頭でも述べたとおり、この方法は「発声スタイルを大きく変更することが許されない人」「喉の状況が比較的に恵まれている人」には非常にお勧めの練習法です。是非、ご参考になさってください。

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