筋肉の「緊張」と「硬化」の違いを理解するのページにおいて、喉頭筋は機能域を広く、静止した状態で弛緩しているべきであるということ、そして、それにはストレッチと筋弛緩法が有効であることをお話しました。ここでは、ストレッチと筋弛緩法、それぞれの特徴について考えていきたいと思います。

ストレッチを考える

喉のマッサージ

上述のとおり、ストレッチは特定の筋肉にダイレクトにアプローチが出来る方法です。したがって、特定の筋肉に問題がある場合に有効な方法ということができます。喉頭筋は拮抗筋が存在しない、もしくは不明瞭なものが多い筋肉ですので、外部からのアプローチが求められます。

声に響きを与えるのに最も重要である咽頭腔の形状に大きく関与する咽頭収縮筋を例に挙げましょう。咽頭収縮筋は、発声時に緩んだ状態であることが求められる筋肉です。拮抗筋を持たない咽頭収縮筋は、もちろん、外部から力でもってストレッチがなされる必要があります。しかし、このとき難点が2つ存在します。

一つは、対象である咽頭収縮筋へのアプローチが難しいということ。これは咽頭収縮筋に限っての話ではありません。胴体や足の筋肉と比べ、体積が小さく構造が複雑な喉頭筋は全体的にアプローチが難しいのです。つまり、貴方が自身の特定の喉頭筋へアクセスしようとしても、実際は別の筋肉を触ってしまっている場合が多いのです。

もう一つは、加減が難しいということ。ストレッチは力が入りすぎると返って筋肉を傷めることになってしまい危険ですが、一方、力が弱すぎても意味を成しません。したがって、喉頭筋のストレッチに関しては、プロ(例えば、ボイスケアサロンの會田先生)の施しを受けることが賢明だといえるでしょう。

筋弛緩法を考える

発声メカニズム

筋弛緩法とは、筋肉よりも筋肉内やその周辺を流れる血液やリンパ液の循環、さらには脳内の指令組織に働きかけ、副交感神経の活性を促し、深い筋肉の弛緩を得ることを目的とする行為です。

先ほどご紹介したストレッチが特定の筋肉に直接施行される、プロによる手解きを理想とするアプローチであるとすると、この筋弛緩法は筋肉群を対象とし、実際に発声する人が自分自身で実施するアプローチということができます。

御存知のとおり、発声は様々な筋肉の連携によりなされますので、もし貴方が発声に困難をきたしており、その原因が喉頭筋の硬化である場合、その硬化は特定の筋肉であることよりも、複数の筋肉に渡って起きている場合のほうが多いのです。したがって、喉頭筋群全体を弛緩させることができる筋弛緩法は、この点においてストレッチよりも有効であるという見方もできるでしょう。

また、自分自身での実施が可能であるが故、時間面・金銭面での拘束を受けずに済むことも大きなメリットでしょう。しかし、その分、筋弛緩法はご自身の感覚を研ぎ澄ませ、積極的に弛緩のための模索をすることが求められます。

たとえその方法を知ったとしても、それを自身の身体に還元し効果を得るには、自身の中での試行錯誤と解釈が必要です。これはボイストレーニングも同様です。したがって、「自分自身で考え、試行錯誤と解釈ができる」という人においては、筋弛緩法は非常に有益であるということができるでしょう。

いかがでしょうか?今回は筋肉の緊張と硬化という、一見混同しがちな2つの言葉の意味の違いから、喉頭筋のあるべき状態、そしてその状態にするためのアプローチ2つ、ストレッチと筋弛緩法について述べてまいりました。

ボイス・リビルディングでは、実際のトレーニング前、そしてトレーニング中に後者の筋弛緩法を取り入れ、筋肉を理想の状態にすることをトレーニングの一環としています。現在、ボイス・リビルディング理論に基づくボイストレーニングのレポートを作成中で、この筋弛緩法は、このレポートの中に盛り込んでいくつもりでおります。レポートの詳細については、近日中にご報告させていただきますので、もしご興味のある方は楽しみにお待ちいただければと思います。

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