この度は、ボイス・リビルディング発声理論サイトに訪問いただきありがとうございます。ボイス・リビルディング発声理論は、著者がアメリカの音楽学校で学んだ発声法を、解剖学の知識を踏まえ、どなたにも確実・着実に「ミックスボイス」が習得できるよう、体系化した発声理論です。以下に、このサイトの閲覧手順例(1~7)をご紹介させていただきます。ミックスボイス習得について一通り知りたい方は、是非、以下の流れで当サイトを閲覧いただければと思います。

1.ミックスボイスとは?

地声/裏声メカニズム

ボイス・リビルディング発声理論では、ミックスボイスの定義を「全声域において、正しく発せられる地声と裏声を理想的な割合で並存させる発声技術」と捉えます。上の図をご覧ください。このように、全ての領域に地声・裏声要素が理想的な割合で存在する声というのが理想の声であり、このような声を発する発声技術をミックスボイスとしています。

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2.声の要素

発声概念の今までこれから

また、ボイス・リビルディング発声理論では、歌声を構成するものを地声/裏声ではなく、地声要素/裏声要素と捉えています。今あなたの声がブレイクポイントを堺に地声/裏声できれいに分かれているのであれば、その声は「地声要素のみで構成される声」と「裏声要素のみで構成される声」で構成されているということができます。そして、地声要素のみで構成される声を「チェストボイス」、裏声要素のみで構成される声を「ヘッドボイス」といいます。

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3.ミドルボイス

チェスト/ミドル/ヘッド

声を「理想的な状態」に近づけていくにあたり、まずは声の中に「地声要素/裏声要素の両方が存在する領域」を生成することを目標とします。このうち、「地声要素/裏声要素の両方が存在する領域」を「ミドルボイス」といいます。

「では早速、ミドルの練習をしよう。」と思われるかもしれません。しかし、それは時期尚早です。地声と裏声に声が分かれてしまっている人の大半は、「チェストボイス」と「ヘッドボイス」を正しく発声できていないのです。したがって、まずはこれらのを正しく発声できるようになる必要があります。

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4.地声要素と裏声要素が生成されるメカニズム

「正しいチェストボイス/ヘッドボイス」は、それぞれ「正しい地声要素のみで構成される声」、「正しい裏声要素でのみ構成される声」となります。では、地声要素/裏声要素とは一体、どのように生成されるものなのでしょうか?

粘膜上皮→ランイケ膣→声帯靭帯→声帯筋

地声要素は生理学的には「声唇(声帯)が全体で振動運動をし、生成される声の要素」と定義することができます。一方、裏声要素は「声帯が粘膜部のみ(粘膜上皮、ランイケ腔、声帯靭帯)で振動運動をし、生成される声の要素」と定義づけられます。

声帯振動

そしてもう一つ、地声/裏声要素を決める重要要素があります。それが声門閉鎖があるかどうかです。この振動運動の間の声門が閉まる期間を「閉鎖期」といいます。閉鎖期があることにより、声門加圧、つまり声帯にかかる圧力が高くなり、結果、発せられる声は地声特有のものになります。

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5.正しい振動運動とは?

では、地声/裏声要素がどのようなものかが分かったところで、地声/裏声要素が生成される正しい振動運動がどういうことなのかを、典型的な間違った振動運動例と比較しながらご説明しましょう。

~画像準備中~

上記は、典型的な力み任せの発声をしている人の振動運動の様子を表したものです。左側3つが地声要素のみでの発声時の振動運動、右側が裏声要素のみで構成される声を発声時の振動運動です。典型的な力任せの発声をしている人は、閉鎖筋など外部の筋肉に頼って閉鎖期を生成します。

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一方、こちらはミックスボイスで発声ができている人の発声時の振動運動を表したものです。ミックスボイスを発声できている人の振動時の声帯の特徴として、以下の2点が挙げられます。

  1. 高音になるにつれて、声帯の形状自体がスリム化されていること
  2. ミドルボイスせいくにおいて声帯が全体振動から一部振動に変化していること

これが正しい声帯振動のための条件になります。この「スリム化」と「一部振動」を成立させるのが輪状甲状筋と甲状披裂筋になります。

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6.輪状甲状筋と甲状披裂筋

輪状甲状筋の働き

輪状甲状筋とは、甲状軟骨と輪状軟骨をつなぐ筋肉です。この輪状甲状筋が収縮することで、図のように甲状軟骨と輪状軟骨が近づき、結果、声帯が伸展します。伸展した声帯は薄く軽くなり、質量が軽くなります。この筋肉が機能するようになるとポイント、1の「スリム化」がなされるようになるのです。

内側甲状披裂筋

甲状披裂筋とは、声帯を構成する筋肉、つまり声帯そのものになります。地声要素を発声する際に重要なのが「閉鎖期」を有する声帯振動を起こすことでしたね。力任せの間違った発声をしている人は、閉鎖期を、側筋・横筋などの閉鎖筋のみで生成する人がほとんどです。しかし、正しい閉鎖期は、この甲状披裂筋を機能させ生成する必要があるのです。

声帯筋

さらに甲状披裂筋には、内側甲状披裂筋と声帯筋とがあり、内側甲状披裂筋は声帯全体、声帯筋は声帯の声門先端部を指します。ほとんどの人は内側甲状披裂筋が機能不全状態、声帯筋にいたっては眠った状態になっています。この両者をしっかりと覚醒させ、さらに機能向上させていくことで、健全な閉鎖期を有する全体振動(内側甲状披裂筋機能による)、やがては一部振動(声帯筋機能による)が実現されるようになるのです。

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7.ミックスボイス習得のための訓練法

すなわち、ミックスボイスの習得は、「輪状甲状筋」と「甲状披裂筋」を覚醒させ、機能向上させることにより、実現することができるようになります。では、以上2つの筋肉の訓練法について順を追って説明していきましょう。

1.正しい呼吸サイクルの習得

まずはこれらの筋肉以外の強ばり、すなわち「力み習慣」を払拭します。「力み払拭」を実現するのに、まずは、発声練習の全工程において必要となる呼吸法「正しい呼吸サイクル」を習得する必要があります。

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2.輪状甲状筋を覚醒させる

正しい呼吸サイクルを習得し、力みがある程度とれたら、次は輪状甲状筋を覚醒させていきます。(この練習はミックスボイス習得プログラムの中のレベル2に該当します。)以下のページに簡単な練習法をご紹介しております。

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3.内側甲状披裂筋を覚醒・機能させる

輪状甲状筋の覚醒と平行して、機能不全状態の内側甲状披裂筋の覚醒・機能化を行います。練習を続けていく中でチェストボイス発声地に「特有の振動」が得られるようになってまいります。「特有の振動」の表れは内側甲状披裂筋が機能し、声帯筋が覚醒した証拠。これでミドルボイスの練習の準備ができあがったことになります。

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4.声帯筋を機能向上させ、一部振動を実現する

「正しい呼吸サイクル」を遵守しながら、ミドルボイス声区を発声していきます。最初はどうしても喉頭が挙上、つまりハイラリンクス気味になり、なかなかうまく声が出せないことでしょう。しかし、練習を重ねるうちに声帯筋が機能向上し、一部振動が実現、ミドルボイスが発せられるようになります。(ミックスボイス習得プログラムの中のレベル6以降がこの練習に該当します。)

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8.外喉頭筋群の健全化

これらの練習が正しくなされれば、ミックスボイスは習得できるようになります。しかし、練習していてもなかなか結果が得られない場合があります。その原因として、外喉頭筋の硬化が考えられます。喉頭の健全化は、ミックスボイス習得の大前提となります。もし、心当たりがある方は、まずはこれらの筋肉を弛緩させる必要があります。以下のページでそれぞれの筋肉のストレッチ方法をご紹介しております。

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ミックスボイス習得に興味があり、このサイトに訪問してくださった方は、上記の流れを参考に当サイトを閲覧していただければと思います。