顎二腹筋

顎二腹筋は、前腹後腹とに分かれた特殊な形状をした筋肉です。前筋は下顎骨から開始し、舌骨上にある中間腱で停止します。一方の後筋は乳様突起内側から開始、前筋同様に中間腱に停止します。

顎二腹筋は、舌骨が固定されているときは、下顎骨を舌骨に引き寄せ、開口のために機能します。一方、閉口時には、舌骨を引き上げます。この働きは嚥下時に作用します。嚥下時、乳様突起の辺りに手を添えてみると、顎二腹筋後筋が収縮するのが確認できると思います。

この顎二腹筋後筋が常に緊張していると、ハイラリンクス、そして喉頭の埋まりこみの原因となります。したがって、顎二腹筋の緊張が常態化している場合は、ストレッチでもってリラックスを目指しましょう。

顎二腹筋のストレッチ

下顎を手の重みで下げるストレッチ

顎二腹筋のストレッチに効果があるエクササイズは、ハイラリンクスを改善するのページでご紹介させていただきました。同様の内容となりますが、以下、概要をご説明しましょう。

スライド運動

開口のメカニズムはヒンジ機能スライド機能によって構成されます。顎二腹筋が緊張した状態の人は、この開口(特にスライド)機能が十分に果たされず、開口が十分にできません。さらにこの顎二腹筋(特に後筋)の緊張は喉頭の埋まりこみやハイラリンクスの原因となります。

そこで、顎二腹筋とダイレクトに相互影響を与える下顎に外部から作用し、開口機能を補助、顎二腹筋後筋を伸張させる方法が効果的です。

方法はシンプルです。下顎に手を当て、手の重さで持って顎を下ろします。このストレッチは発声時に実施することができるので、発声時の緊張緩和が期待できるところが利点です。

したがって、発声練習中に実施するのが良いでしょう。ここで、ポイントを一つ。手に力を入れてはいけません。あくまで手の重みのみで下顎を落とします。これを毎日続けることで、少しずつ顎二腹筋後筋がストレッチされます。それにより、下顎の可動域が広がり、結果、ハイラリンクスや喉の埋まりこみも改善されます。

親指を使って、顎二腹筋をマッサージ

もう一つ、ボイスケアサロンの會田先生が紹介されている顎二腹筋のマッサージをご紹介しましょう。これは、顎二腹筋前筋・後筋を親指を使ってマッサージする方法です。内容は以下のとおりです。

  1. 後筋ストレッチ:乳様突起から舌骨体に向かって、両方の親指を使って優しくマッサージしていきます。
  2. 前筋ストレッチ:舌骨(中間腱)から下顎骨に向かって、5ミリほどの幅の振動を与えながら、同様に親指を使ってマッサージを実施します。

筋肉の付着部分を特に念入りに実施することがポイントとして挙げられます。

他のページでも會田先生のマッサージをご紹介させていただいておりますが、これらの直接筋肉にアプローチする施術は、正しく実施できたときは大きな効果が期待できるのでしょうが、素人にとって、筋肉への正しいアプローチや力の加減判断は非常に難しいです。したがって、くれぐれも御自身の判断で実施いただき、具体的な施術を受けたい方は、會田先生をはじめ、プロの施術を受けるようにしましょう。

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