ミックスボイスは、「発声概念」を示す言葉です。ミックス(形容詞)+ボイス(名詞)の組み合わせから成る言葉なので、「声の種類」と認識されている方も多いようです。
ミックスボイスとよく混同されるのがミドルボイスです。ミドルボイスとは、声帯の一部を振動停止させ、一部分での振動によって発せられるべき声区のことを言います。つまり、最もミックスボイス技術の真価が問われる声区がミドルボイス声区なのです。
再三申し上げますが、ミックスボイスは声の「種類」ではなく、「発声技術もしくは発声法」を指す言葉です。そして、ミックスボイスという発声概念は様々なボイストレーナーが様々な解釈で使用されているが故、その定義が曖昧になってしまっている言葉でもあります。しかし、その元は理想的な発声概念を示す、発声学習者が正しく把握するべき言葉です。
ミックスボイスを様々な側面から表現をすることが可能ですが、一言で表わすのであれば以下のようにいえるでしょう。
全声域において、正しく発せられる地声と裏声を理想的な割合で並存させる発声技術
これを図示すると以下のようになります。
縦軸が地声/裏声のメカニズムが占める割合、縦軸がピッチの高さを示しています。ピッチが低くなる程、地声要素の占める割合が増し、ピッチが高くなる程、裏声要素の占める割合が増します。
ミックスボイスの発声メカニズムを把握するためには地声の発声メカニズムと裏声の発声メカニズムを知る必要があります。
さらに、ミックスボイス発声時の喉頭筋群の働きを把握したいのであれば、各声が発せられる際に働くべき筋肉群を把握する必要があります。(正しいピッチ調整がなされる際の喉頭筋群の働き-地声、正しいピッチ調整がなされる際の喉頭筋群の働き-裏声参照)