前筋・側筋・間筋の拮抗筋の役割を一手に引き受ける後輪状披裂筋

後輪状披裂筋

後輪状披裂筋(後筋)は輪状甲状筋(前筋)拮抗筋として機能し、それにより声帯は開大します。これはこの発声法において最も基本的、なおかつ最初に行われるべき声帯への作用となります。(詳しくは内喉頭筋の働きのページで)

この発声法では喉頭筋の作用メカニズムを把握しやすくするために、各々の筋肉の作用を練習の「流れ」に沿ってご紹介しております。そのため「声帯開大は声帯伸展の『副産物』であり、それをカバーするために閉鎖筋が機能する」「声帯開大=厄介なもの」と捉われかねない表現をしてしまっています。しかし、実は閉鎖筋の過剰機能こそ、まさに「厄介なもの」であり、それをカバーしているのが側筋・間筋に拮抗作用である「後筋の開大作用」なのです。

すなわち、後筋は、前筋のみならず側筋・間筋の拮抗筋でもあるのです。後筋は、前筋の拮抗筋として声帯を伸展させる補助機能をする一方、過剰機能しやすい閉鎖筋の拮抗筋として声帯への作用バランスを平衡させる頼もしい筋肉といえるでしょう。

後輪状披裂筋(後筋)の働き

後輪状披裂筋の働き

では、この後輪状披裂筋がどのように機能し、それにより、声帯がどのように伸展・開大するのかを見ていきましょう。

まず、前筋が緊張することで、輪状軟骨と共に披裂軟骨が後方に移動、結果、声帯が後方に伸展します。このとき、拮抗筋である後筋も同時に緊張・収縮します。左右対称に位置する後筋は中央部に向かって収縮します。すると、披裂軟骨の後方が中央部分に寄せられます。すると、反対側の声帯との接合部は外回りに回転、声帯は斜め外方向に引っ張られる形になり、結果、声帯は斜め方向に伸展・開大するのです。

筋肉の動きを文章で説明されても、直感的に把握するのは難しいかと思います。ですので、是非上図を声帯が伸展・開大する様子を把握するのにお役立ていただければと思います。

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