「喉頭の埋まり込み」とは、喉頭周辺筋肉の慢性的硬化により、舌骨、甲状・輪状軟が奥方向へ定位置化してしまう現象のことを指します。喉頭の埋まりこみは、
- 共鳴腔が狭くなる
- 甲状舌骨間の狭小化
- 舌骨上筋群の硬化
- 披裂軟骨の小角部の圧による回転
主にこれらの症状を引き起こします。これらの症状は声に多大なる悪影響を与えます。
この「喉頭の埋まり込み」は、喉頭周辺の筋肉の硬化によって生じます。まずは、この症状を引き起こす原因となる筋肉をご紹介していきましょう。
喉頭の埋まり込みを引き起こす筋肉
それでは、喉頭の埋まり込みを引き起こす筋肉をご紹介していきましょう。喉頭の埋まり込みを引き起こす筋肉は以下の4つです。
- 肩甲舌骨筋
- 茎突咽頭筋
- 茎突舌骨筋
- 中咽頭収縮筋
まず、肩甲舌骨筋が硬化すると喉頭が後下方、もしくは後方に向かって埋まりこみを起こします。茎突咽頭筋・茎突舌骨筋が硬化すると、甲状軟骨および舌骨が後方へ埋まりこみを引き起こします。そして、中咽頭収縮筋が硬化すると、舌骨を後方へ移動させ、結果、喉頭の埋まり込みを生じさせます。
したがって、これらの筋肉は健全な発声のためには常に柔軟に保つ必要があります。これらの筋肉のストレッチアイディアは、各筋肉のリンク先ページをご参照ください。
喉頭の埋まり込みが喉に及ぼす悪影響
では、喉頭の埋まり込みにより生じる「4つの症状」が声にどのような影響を及ぼすかについて述べていきましょう。
共鳴腔を狭くする
共鳴腔は、声の元である喉頭音源を響かせる役目を果たす空間です。この空間が保たれなければ、声は響きを得られず、貧相なものとなってしまいます。
貧相な声は、聞く側に対し耳障りな印象を与えるだけに留まりません。貧相な声は「通り」が悪く、発声する当人に無理な発声をさせがちになります。結果的に「力み」を生じさせ、さらに悪い発声習慣を生じさせるという「負のスパイラル」を生み出す原因となりえます。
甲状舌骨間の狭小化
甲状軟骨と舌骨の間には、甲状舌骨膜があり、その中には声帯に血液を送る上喉頭動脈が存在します。甲状軟骨と舌骨の間が圧迫されると、この上喉頭動脈の血流が低下、声帯の血流が減少します。すると、酸素や栄養が行き届かなくなり、乾燥や疲労が生じやすくなります。
舌骨上筋群の硬化
舌骨上筋群は舌骨に関与、つまり舌の動きに直結する筋肉群となります。舌の動きは「滑舌」にダイレクトに影響を及ぼします。したがって、舌骨上筋群の硬化は滑舌に悪影響を及ぼします。
披裂軟骨の小角部の圧による回転
喉頭が奥方向に移動すると、それに伴い披裂軟骨の小角に圧力がかかります。それにより、披裂軟骨は意図しない回転を余儀なくさせられます。すると、声門が少し開いてしまい、そこから呼気漏れが生じます。
こうして生じる呼気漏れは、呼気の声への還元率を減少させるため、発声する当人の望む声量を実現しません。そのため、無意識に呼気圧を増加、それに伴い閉鎖筋が過剰機能を起こします。こうして発声時の力みの常態化の原因となります。
喉頭の埋まり込みは、喉頭周辺筋肉の硬化を基とする症状ですが、喉頭周辺筋肉の硬化は甲状軟骨・輪状軟骨の動きを阻害します。これはすなわち、輪状甲状筋の可動域を狭くすることにつながります。
こうなると、輪状甲状筋を鍛えることができなくなります。輪状甲状筋は声帯伸展を担う、正しい発声法習得において最も重要な筋肉です。このように、様々な観点から、この喉頭の埋まり込み化は常に細心の注意を払われるべき症状ということができます。
後頭の埋まり込み改善に有効な整体院のご紹介
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